この一年間で様々なAIを使ったサービスが生まれています。その進化は専門家も予想していなかったほど急速で、社会に大きな影響を与えて行くのではないかと言われています。2月に開催された自民党のAIの進化と実装に関するプロジェクトチームの会合で、東大の松尾豊教授が発表した資料で、「これまでのホワイトカラーの仕事ほぼ全てに影響が出る可能性が高い」という認識を示したことも話題となりました。(資料は以下からダウンロードできます。)
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AIについて考えるにあたって、まず、実用的なAIの登場が持つ意味合いを考えてみたいと思います。人が何らかの仕事、作業、活動を行う場合に、身体的な側面と頭脳的な側面があります。より身体的な側面が強いのがいわゆるブルーカラーと言われている仕事、頭脳的な側面が強いのがホワイトカラーと呼ばれている仕事と言って良いのかもしれません。
このうち身体的な側面については、18世紀から19世紀にかけての産業革命によって大きく変化しました。それまでの人力、もしくは馬や牛といった動物によって賄われていた動力が、化石燃料や電力に代わっていき、産業が大きく変化しました。動力源というレイヤーが追加され、様々な活動が計画されるようになりました。今では、工場を建てる時に電力が来ていない、発電機も確保できないではお話にならないのだと思います。
同じような変化が頭脳的な側面に起きようとしているのかもしれません。下記に引用した先ほどの松尾教授の資料ではChatGPTにおけるユースケースが整理されていますが、これまでは人間がやってきたこと、ホワイトカラーの典型的な作業として考えられてきたことが代替できるようになりました。これからの仕事、作業、活動は、AIというレイヤーも考慮して考えていく必要があるのだと思います。
資料の最後に示されている日本の戦略のうち、「1.大規模言語モデルを自ら開発する」については手に負えませんが、「2.APIを使いサービスを作ることを奨励する」や「3.ユーザとしての活用を促進する」についてはまだまだ余地がある(時間は短いかもしれないけれど)と思いますので、行政の現場での経験も踏まえて、考えていきたいと思います。